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「パリの明日、仏大統領選の夜」
ブログを書かなくなってからあっというまに時間が過ぎてしまった。まさに光陰矢のごとし。滞在許可書に約200ユロー必要とか、アパートの溜まった管理費1800ユローを請求されるとか、安定した生活を構築するのに忙しかった。おカネにならないことに時間を割くのはむつかしい。
フランスは貧富の格差が激しくて庶民の生活はますます苦しくなっている。国の財政も苦るしからとれるところからは締め上げても取り上げようとする。
先日は最近その残した業績への評価が高い社会学者、ピエール・ボールデュへのオマージュとしてオデオン座で開かれた講演会を聞きにいった。確か死後10周年記念。テーマは「全面的な不服従」と、もう一つはなんと「階級闘争」であった。劇場はほぼ満員。こうしたテーマが人を集める。そういう状況があるのだと思った。
1%のブルジョワがフランスの富を牛耳り〔確かそう聞いた〕、メディアなどを通じて、彼らのライフスタイル、ファッション、価値観を、それを社会の規範にしている。非常に暴力的である。
パリの最高級住宅地区であるNeuily(ヌーイユ)についても触れていたが、ここの住民は見ただけで、服装は勿論、、身体的な感じ、体つきが他の地区の人たちとは全然違う。肥満児は100%いない。友人に聞いたら、Neuily(ヌーイユ)はフランスの中のまた別の富裕国のようなものだといった。
労働者階級出身の子供たちはまず身体的にブルジョワの世界に入っていけない。だから上級高等学校に進学する事は自ら諦めてしまうという。フランスでは労働者の家族は労働者を富裕家庭はエリートを再生産し続ける社会システムが出来上がっているという事らしい。ボールデューはサルトルのアンガージェ〔社会参加〕の思想は知識人の枠組から抜け出ていないと否定したらしい。
5月6日、フランス大統領選の模様を逐一伝える生中継を夜中まで16時間ノンストップで見続けて、ひどく感動した。政治はドラマだと思った。
サルコジとオランドが直接対決した2時間以上に及ぶ論戦の実況中継もおもしろかった。
お互い一歩も譲らず、まさに激突、フランスのトップの知的水準はすごい。全てのことが頭の中に漏れなく入ってる感じだ。知的ボクシング。ボクサーが解説している記事もあった。
勿論、後ろで補佐する官僚などいない。一対一の激論である。少しでも明晰さを欠いたら敗北だ。言葉の国、コメディーフランセーズの国なのだと改めて思う。
選挙結果は最後までサスペンスでサルコジが逆転するかもしれないという予測もあったがオランドが52%近くで勝利した。おもしろかったのは、投票結果が最後まで完全に伏せられていて、発表時の20hになったらTV画面に二人の写真がぱっと流れて、その下に投票数がでて、司会者が新大統領はオランド氏ですとさらっといっただけだったこと。フランスっぽいと思った。
バスティーユ広場にはオランド支持の大群衆が集まり、すごい熱気で三色旗、赤旗が夜風に翻り、なんかフランス革命をみているような気にさせられた。オランドは「正義」と「若者」をキーワードにした勝利演説をした。メリハリがきていて観衆を引き込む。感動させられてしまった。。
すぐに失業者数が減ったりドイツとの関係が変わったりする変化はないだろう。教師数をふやしたり年金が受け取れる年齢を60歳に引き下げたり国の歳費を増やす政策だからギリシャやスペインの二の舞になるというサルコジ支持者の主張に不安を抱く向きもある。オランド支持というよりサルコジに辞めてもらいからという人も多かったといわれる。
しかし、1981年のフランソワ・ミッテラン以来の社会党大統領の登場でフランスの時代の空気は変わるだろう。
サルコジは当選祝賀会をシャンゼリゼにある最高級レストラン、フーケに財界人、芸能人を招いて派手にやったが、オランドは地元の演説舞台上でアコーデン弾きがラビアン・ローズを演奏して祝福したのみ。車もリムジンではなかった。
今一ユーロが約105円前後、最近郵便局で円を替えようと思ったら、聞き間違いか、担当者の勘違いか、円はメリットがないので郵便局では取引を止めていますと、そういわれたと思ったので、そのまま帰って来てしまった。
円で稼いでいれば得だった時代、日本人の団体観光客も多かった時代、状況は様変わりしてしまった。恵まれた駐在員を除けば貧苦に耐える在パリの日本人に会う事も多くなった。バブル時代をのぞけば昔からそうだったのだから、ある意味で当たり前の状態に戻ったのかも知れないがー。
時代は変わる。さて、どう生き残っていくか。それが問題だ。姉が84歳のラジオ・パーナリティ、二宮チエの自伝「明日もある。あさってもある。」という本を作った。がんばりたい。完。


by croissant
パリの年末年始、レ・ミゼラブ…